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2018.10.31

日本社会の先駆けとなる『障害攻略課』の取り組みとは


2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと1年半。ようやく社会の中にバリアフリーとか共生社会というキーワードが出てきているものの、今日において段差などの設備におけるハード面のバリアや差別などの意識におけるソフト面のバリアなど、日本社会には多くの課題が残っている。

もちろん、「私は健康だから大丈夫」と言う人が多いかもしれないが、誰が・いつ・どこで病気・ケガになるか分からない。私自身も24歳のときに、スクーターのもらい事故によって脊髄損傷となり、一生車椅子生活であると宣告されて、今に至っている。

大事なことは、いろいろな人の立場を自分だったらどうなのかを考えて、自分とは違う人たちのことをいかに理解してあげることが、今後の国が目指している共生社会につながっていくのだろう。

そうした中で、「障害」があっても暮らしやすい社会にするために、取り組んでいる自治体を紹介したい。石川県の能登半島中部にある中能登町役場である。その名は「障害攻略課プロジェクト」。もともと繊維産業で栄えてきた中能登町が、町・民間・外部の官民一体となって、このプロジェクトを盛り上げている。

障害攻略課 公式サイトはこちら


プロジェクトの柱となるのは、①バリアフリー観光 ②障害者ファッションショー ③繊維スポーツである。

例えば観光においては、毎月8月をバリアフリー滝行月間として、誰もが楽しめる滝行を整備している。滝壺までの道のりを車椅子でも走行可能にして、水にぬれない白装束まで開発している本格的な取り組みである。スポーツにおいては、「ゆるスポーツ」などを開催している。

気になったので、中能登町役場企画課に問い合わせてみたところ、設備などのハード面だけではなく、心のバリアフリーのようなソフト面を推進することで、少しの知恵と工夫で、全国にある「社会障害」を乗り越えていくプロジェクトであると教えてくれた。ちなみに社会障害とは、先ほど述べたような段差や差別意識のような社会に潜む障害の数々である。

中能登町では、2017年4月に発足した「障害攻略課プロジェクト」をますます加速していきたいと考えていて、今後は、このプロジェクトの活動を講演会などで、紹介していく予定であるとのこと。

障害を社会で解決しようとする動きが高まっていき、こうした動きが全国に広がっていくと、超高齢化社会であっても住みやすい社会になっていくにちがいない。ぜひとも注目していきたい活動である。


石川県中能登町の取り組み (企画課が教えてくれたURL)
URL:https://www.town.nakanoto.ishikawa.jp/soshiki/kikaku/1/2/1/4474.html

中能登町役場 企画課 
 電話 0767-74-2806(企画課)
 メール:kikaku★town.nakanoto.ishikawa.jp(★→@に変更ください)

この記事を書いた人

白倉栄一

バリアフリースタイル代表

1972年千葉県生まれ。1995年イオンリテール(株)入社。 1年後の24歳で交通事故に遭い、一生車椅子生活の宣告を受ける。仕事の傍ら、2005年から車椅子利用者向けの情報ブログを作り、1000件以上のバリアフリースポットを調査。2016年には念願だった日本1周を果たす。同社を退社後、2017年8月に「バリアフリースタイル」を起業。車椅子でも利用できる環境を創っていくための活動を開始。長年のバリアフリー調査の実績と店舗における従業員満足・お客さま満足に取り組んだ経験を活かしながら、小売・飲食・宿泊施設のバリアフリー化を進めている。

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