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2014.10.16
10月8日の財政制度等審議会で財務省が「介護サービス全体の平均収支差率は+8%程度と、一般の中小企業の水準(+2~3%弱)を大幅に上回ることから、少なくとも6%引き下げをする」と発言が大きな波紋を呼んでいます。そのことについてが緊急コラムとして掲載します。(友清直樹:ともきよなおき)
財務省の「次期改定に収益差を少なくとも6%引き下げをする」と言った発言はとんでもない話だ。特に通所介護や特養は利益率が10%を超えると槍玉にあげられたが、この財務省が指摘した「2014年介護事業経営実態調査」では、既に2割以上の通所介護事業所は収益率がマイナスとなる結果である。仮に6%引き下げれば通所介護事業の3割以上が収益率がマイナスに転じることになる。
報道では介護事業は民間事業からすれば『高すぎる収益率』という論調が一気に拡がったが、本来は社会保障の中で今回の数値がどういう意味もつかはもっと慎重とらえなければならない。社会保障と民間企業を比較すること自体が誤っているかもしれない。
さらに現場のインパクトを大きくしている要因として介護報酬改定のスケジュールにある。介護報酬改定は1月下旬ぐらいまで報酬単価は明らかとされない。(介護報酬改定スケジュール)そして現場が体制を立て直す間もなく4月1日からの新制度施行に臨まなければならない。体制が整わない状況で臨む改定はさらに衝撃を大きくする。
今後、財務省との予算折衝が行われ介護報酬改定の改定率が決定されるのは12月頃となるが、財務省の発言の通りの一律の収支差率の6%引き下げということについては断固反対である。
補足:介護報酬改定が3年に1回でよいのか?
社会保障の変革が今後も求められていることは事実だからこそ、「介護報酬改定が3年に1回でよいのか?」という議論も必要に思う。3年に1回の改定は時代にあった社会保障を維持するためにはあまりにも現場のインパクトが強くなりすぎてしまうことも懸念される。介護報酬改定のスパンを縮めて段階的にゆるやかにあるべき社会保障の姿へ変革すべきではないだろうかと思う。
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