介護保険サービスでは、より生活を意識した「自立支援型」のサービス提供が求められている中で、作業療法士がケアマネージャーや介護・福祉系サービスと連携を強化することで、より主体的な生活が支援できると日本作業療法士協会(中村春基会長)は「生活行為管理指導」の創設を提案。
「生活行為向上マネジメント」は、セルフケアのADLや家事などのIADLの他、余暇活動までの幅広く人の作業を把握し、高齢者が生活する上での重要な意味のある作業を見つけ、高齢者の有する能力を活用し、自立支援を目的にした概念として日本作業療法士協会が推進している。
平成24年度老人保健健康増進等事業 「生活行為向上の支援における介護支援専門員と作業療法士との連携効果の検証事業」の調査結果では『① 退院時リハビリ指導書の作成と指導 ②作業療法士による退院前訪問 ③サービス担当者会議への参加』を行いADLやiADLの維持改善に効果があったと報告されている。特に退院時リハビリテーション指導書には「生活行為申し送り書」を導入し、ケアプラン作成時にケアマネージャーが参考にしやすい形式で申し送り書を作成し、ケアマネからも「ケアプラン作成に参考になった。」評価されている。
日本作業療法士協会の中村春基会長は、これからの作業療法のあり方について「作業療法が単に手芸や工作を行わせる療法としての認識からの転換をはかり、生活行為マネージメントの普及をすすめて、高齢者や障害がある方でも、自分らしく、主体的に生活が出来るための作業療法を展開していく必要がある。」と発言している。
これからの少子高齢社会の中で地域や在宅を支えるために「生活行為マネジメント」という視点で、作業療法として専門性の発揮が期待される。
■関連サイト
・
シルバー新報「福祉系サービスとの連携強化へ 日本作業療法士協会」
・日本作業療法士協会
「生活行為向上の支援における介護支援専門員と作業療法士との連携効果の検証事業」
・
広島県作業療法士会-生活行為向上マネジメントとは-