全国国民健康保険診療施設協議会が実施した「摂食嚥下障害のある患者の胃ろう造設、転帰、胃ろう造設患者に対する口腔ケアの実施効果に関する調査」によると、胃ろう造設の適応判断、医師のみで判断しているところは3 分の1となり、医師だけでなく多職種が胃ろう造設への導入や家族への説明に多く関わっている状況が明からかとなった。また、家族への説明を行う際にも医師以外のスタッフが関わることでより満足度の高い結果となっていた。
胃ろう造設にあたっては、栄養状態の改善等のメリットもあるが、一方で、介護保険 施設等では胃ろう造設者に受け入れ制限を設けているところも少なくない。 また、胃ろうを造設した患者に、摂食・嚥下リハビリをはじめとした口腔ケアを続けれ ば、経口摂食が可能なる場合も少なくない。本調査においても経口摂取が一時的にでもできた人が3割となっている。状態に応じて胃ろうから経口摂取へのリハビリテーションが大切だ。「食を楽しむ」「食べる喜び」を取り戻す取り組みはQOLの向上からも重要といえる。反対、に定期的な口腔ケアを施さないと口腔機能が低下し、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなる等の問題が生じると言われている。
今後ますます増加するであろう胃ろう造設者に対して、その対応の在り方について医師のみならず多職種が共同での連携を取りながら関わることがより一層求められる結果となった。また、胃ろう に携わる医療・介護従事者の共通の認識が不足している現状があるため、『ハンドブック「みんなですすめる「胃ろう」ケア-食べる喜びを取り戻す入口としての口腔ケア-」』を作成し同ホームページで公開している。
■全国国民健康保険診療施設協議会ホームページ
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摂食嚥下障害のある患者の胃ろう造設、転帰、ならびに胃ろう造設患者に対する口腔ケアの実施効果に関する調査研究事業 ・
サマリ(事業概要) ・
報告書 ・
ハンドブック「みんなですすめる「胃ろう」ケア-食べる喜びを取り戻す入口として口腔ケア-」 ・
ハンドブック(見開き版)