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2013.04.18
平成25年4月1日から「膝軟骨」の再生医療が一部実用化され、患者自身の軟骨細胞を活用する自家培養軟骨「ジャック」が保険適用となりました。機能回復(獲得)には、その後のリハビリテーションが重要とし、専門医いることや専用の設備があること共に、運動器リハビリテーションが実施出来る体制があることが保険適用の条件としてます。「再生医療」におけるリハビリテーションの確立が求められております。
【自家培養軟骨移植術後の機能回復にはその後のリハビリが重要】
関節軟骨には血管がなく、関節軟骨は修復能力が乏しいため、一度損傷を受けるとなかなか治りにくい組織となっています。広島大学整形外科の越智光夫教授が開発した自家培養軟骨移植術は、患者の膝関節から採取した 軟骨組織をゲル状のアテロコラーゲンと混合して立体的な形に成型した後、約4週間培養し、患者の膝関節に移植します。また、移植された軟骨組織は、リハビリなどによる刺激を受けて更に活性化し、厚みを増し本来の軟骨の機能を取り戻します。その機能回復にはリハビリテーションが重要としています。
【期待される再生医療とリハビリテーション】
新たに保険適用となった膝関節の外傷性軟骨欠損症や離断性骨軟骨炎を適応症とする自家培養軟骨「ジャック」について、現時点では変形性膝関節症は保険適用症には含まれていないませんが、変形膝関節症の患者数は1,200万人で要治療者は700万人と言われ、変形性膝関節症は高齢化社会が進むなかで深刻な社会問題となっています。また、脊髄損傷や脳卒中、パーキンソン病など、現在は回復が難しいとされる疾病に対しても「再生医療」は大きな期待と可能性を秘めており。「再生医療」の技術の進展と共に、治療への応用の拡がり期待されております。「再生医療」の発展と共に、機能を再獲得していくためには、リハビリテーションの実施も重要なカギとなっており、「再生医療」分野におけるリハビリテーションの確立も同時に求められています。
【特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項(概要:ヒト自家移植組織 イ 自家培養軟骨)】
a 膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く。)で、他に治 療法がなく、かつ、軟骨欠損面積が4cm2以上の軟骨欠損部位に使用する場合にのみ算定できる。
b 使用した個数、大きさに係わらず、所定の価格を算定する。
i CT撮影及びMRI撮影の施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出ていること。
ii 運動器リハビリテーション料(I)又は運動器リハビリテーション料(II)の施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出ていること。
iii 関節軟骨修復術を含む骨切り術、関節鏡下靱帯再建術、半月板手術、人工膝関節置換術等の膝関節手術を年間100症例以上実施していること。
iv 整形外科の経験を5年以上有しており、関節軟骨修復術10症例以上を含む膝関節手術を術者として100症例以上実施した経験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること。
v 所定の研修を修了している常勤の整形外科の医師が1名以上配置されていること。
d ヒト自家移植組織(自家培養軟骨)を使用した患者については、診療報酬請求に当たって、診 療報酬明細書に使用する医療上の必要性及び軟骨欠損面積等を含めた症状詳記を添付するこ と。
■関連サイト
・厚生労働省保険局医療課(事務連絡)「新たに設定されたヒト自家移植組織(自家培養軟骨)の施設基準に係る届出の取扱いについて」
・膝関節外科診療班:広島大学 整形外科「組織工学的手法を用いた軟骨再生」
・いよいよ「膝軟骨」の再生医療が実用化
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