日本老年医学会は
高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン を公開した。
同学会は、高齢者などの終末期における「最善の医療およびケア」を「必ずしも最新もしくは高度の医療やケアの技術すべてを注ぎこむことを意味するものではない」とし、胃ろうなどで人工的水分・栄養補給(AHN:artificial hydration and nutrition)により何年も延命することが必ずしも本人のためになっていない。本人の尊厳を損ねたり、苦痛が増えたりする可能性があるときは、差し控えや撤退を考慮する必要があるとし、その医療・介護における意思決定プロセスをガイドラインとしてまとめた。
生命維持につながる医学的介入の差し控えおよび中止については、倫理的および法的問題になるのではないかという懸念より多くの議論が続いている。同ガイドラインは『これまで日本において、生命維持(人工呼吸器など)中止を医療者が医療行為としてしたことに対して有罪判決が出た場合、その理由は「(中止等が妥当となる)要件を満たしていない」というものであって、「生命維持をやめることは生命を意図的に終わりにすることであるから違法である」といった理由ではない。「中止の要件を満たしていない」という理由で有罪であるという のだから、中止が妥当となる要件が想定されていることになる。』とし、ガイドライン 等のかたちで明確化することが相応しいとし、主張に賛同する法律家のリストも掲載している。
医療技術が進歩する中で、リハビリテーションにおいても、いのちについてどう考えるか、本人や家族を含めて尊厳ある生活はどのようなものか、医療や介護の介入はどうあるべきかを考える上でその意思決定は重要なプロセス。
「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」概要
1.医療・介護における意思決定プロセス
2.いのちについてどう考えるか
3.AHN導入に関する意思決定プロセスにおける留意点
関連サイト
社団法人 日本老年医学会
高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン