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2025.01.07

企業に価値提供するセラピストが知っておきたいエルゴノミクス(人間工学)の話



【はじめに】

今回のテーマはエルゴノミクス(人間工学)です。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、多くの企業でこのエルゴノミクスを取り入れて職場環境の改善が進められています。

姿勢や動作を分析して患者様や利用者様に最適な環境や道具を検討しながらリハビリを提供しているセラピストは、このエルゴノミクスという概念と共通する部分があります。企業に価値提供する為に、エルゴノミクスについて見ていきましょう。


【エルゴノミクスとは?】

エルゴノミクスは、人間が仕事や生活をより快適で効率的に行えるようにするための科学技術です。働きやすい職場や生活環境を実現する為に、安全で使いやすい道具や機械が開発されてきています。

例としてデスクワークでは、高さ調整が可能なデスクや椅子、手首に負担がかからないキーボード、握りやすい形状のマウスなどが挙げられます。このように身体にかかる負担を軽減して、作業や動作の効率を高めることを目指しています。


【リハビリとエルゴノミクスの共通点】

リハビリの目的は、患者様や利用者様の機能回復と日常生活への復帰を目指し、再びその人らしい生活を送れるように支援することです。一方で、エルゴノミクスは身体にかかる負担を軽減して、作業や動作の効率を高めることを目指しています。

この二つの共通点は、どちらも姿勢や動作を分析して環境や道具を最適化していくという点にあります。リハビリ場面で、患者様や利用者様の状態に合わせて、装具や自助具、福祉用具、住宅改修などを駆使して作業や動作能力を高めることは、まさにエルゴノミクスと共通する部分です。


【セラピストがエルゴノミクスに関わる意義】

昨今、エルゴノミクスを取り入れて、より良い職場環境を構築し、組織全体の生産性向上を目指す企業が増えています。

産業医科大学の永田智久准教授らが、日本人12,350名を対象にした研究1)では、プレゼンティーズム(出勤しているものの健康上の問題によって完全な業務パフォーマンスが出せない状況)による損失額の第一位が肩こり、第三位は腰痛と報告されています。



肩こりや腰痛の知識とその改善に関与するエルゴノミクスの知識を兼ね備えたセラピストが企業に価値提供をして、プレゼンティーズムを改善していくことは、企業だけでなく社会的にも大きな意義があります。


【企業に価値提供する為に必要なこと】

これまで述べてきたように、リハビリで経験を積んだセラピストが、企業に価値提供していく可能性は大きいと感じます。

一方で、企業内の多職種で連携するにあたり、産業保健や健康経営分野の知識を習得しているセラピストが十分とは言えないのが現状です。

理学療法士を対象とした調査2)では、『今後、産業保健・健康経営に関する活動に従事したい』と回答した割合が57%であった一方で、『産業保健に関する学習をしたことはない』と回答した割合が65%という結果になっています。

多職種と連携して、セラピストが企業で価値提供していく為には、産業保健や健康経営分野の知識を習得していなければなりません。




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【参考文献】
(1)Tomohisa Nagata,et al. Total Health-Related Costs Due to Absenteeism, Presenteeism, and Medical and Pharmaceutical Expenses in Japanese Employers.Journal of Occupational and Environmental Medicine (JOEM).2018
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5959215/pdf/joem-60-e273.pdf

(2)日本理学療法士協会.産業保健・健康経営における課題と理学療法士活躍の可能性に関する調査事業報告書
https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/20240331_chousajigyou_houkokusho.pdf

この記事を書いた人

株式会社バックテック

肩こり・腰痛対策支援サービス ”ポケットセラピスト” を運営。
「全人類が健康に活き活きと暮らし、社会に貢献できる世界をつくる」をミッションに、慢性痛に悩む労働者を医療職がオンライン上でマンツーマンサポートしていくサービスを提供しています。ポケットセラピストにご興味がある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

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