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2024.12.19

企業のメンタルヘルス対策にセラピストは貢献できるか?



今回のテーマはメンタルヘルス対策です。身近に感じていながらも、なかなか対策を取ることが難しい健康課題の一つであると思います。

厚生労働省の「厚生労働省  産業保健の現状と課題に関する資料」1)によると、精神障害の労災請求件数、認定件数ともに年々増加傾向であり、多くの企業でメンタルヘルス対策は課題になっています。



日本のメンタルヘルス対策は、2015年に施行された労働安全衛生法の改正に基づき、大きな転換点を迎えました。

この改正により、従業員50人以上の事業場では、年に1回のストレスチェックの実施が法的に義務付けられました。50人以上の事業場で勤務されているセラピストの方は、毎年ご回答されているのではないでしょうか。


【メンタルヘルス対策の現状】

厚生労働省の『ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて』2)のなかで、ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を主な目的としています。

ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された場合は、申し出ることにより産業医や医師の面接を受けることができます。一方で、申し出なかった場合は、面接を受けなくても良いということになっています。

実際に高ストレス者と判定された方の中で、面接を受けている割合はどのくらいなのでしょうか?

令和5年全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書3)によると、医師面接対象者の中で、面接を実施したという割合は、わずか2%という結果でした。令和元年から3%未満が続いており、非常に低い割合となっています。

高ストレス者と判定は受けたものの、医師による面接を受けずに仕事をしている方が数多く存在しているというのが現状です。



【メンタルヘルスと身体の不調】

令和5年全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書3)によると、”ストレス大”に区分されたグループは、身体的負担を感じているというのが男女ともに最も多い結果となりました。



そして、身体愁訴の各質問に、”ほとんどいつも”と回答した割合は、「首筋や肩がこる」や「腰が痛い」という項目で多い結果になりました。



上記の結果から、高ストレスという状態と身体の不調は関係があることが示唆されます。

当社の調査では、メンタルヘルスのお悩みへ訴求するよりも身体のお悩みへ訴求する方が、5倍も行動変容に繋がることがわかっています。

セラピストが得意とする身体の不調への関わりを入口にして、メンタルヘルス対策が行えるのは、まさにセラピストが貢献できる可能性を秘めています。



【産業保健・健康経営分野で貢献する為に必要なこと】

これまで述べてきたように、リハビリで経験を積んだセラピストが、産業保健・健康経営分野で活躍していく可能性は大きいと感じます。一方で、多職種で連携するにあたり、この分野の知識を習得しているセラピストが十分とは言えないのが現状です。

理学療法士を対象とした調査4)では、 理学療法士が産業保健チームの一員として産業保健活動をおこなう上で、「産業保健・産業衛生の理解(教育・研修)」が必要であると認識されています。

セラピストが多職種と連携して、産業保健・健康経営分野で貢献して行く為には、その知識を習得していなければなりません。



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第5回は、12月26日(木)20:00〜21:00に開催され、『産業保健・健康経営領域におけるメンタルヘルス対策』というテーマで、大室 正志 先生(大室産業医事務所 代表)にご講演いただきます。

企業におけるメンタルヘルス対策の実情について、このセミナーでは知ることができます。

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【参考文献】
(1)厚生労働省.第1回 産業保健のあり方に関する検討会.産業保健の現状と課題に関する参考資料
 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001001488.pdf

(2)厚生労働省. ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて
htps://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf?utm_source=chatgpt.com

(3)全国労働衛生団体連合会.令和5年全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書
https://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20240919152824.pdf

(4)日本理学療法士協会.産業保健・健康経営における課題と理学療法士活躍の可能性に関する調査事業報告書
https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/20240331_chousajigyou_houkokusho.pdf

この記事を書いた人

株式会社バックテック

肩こり・腰痛対策支援サービス ”ポケットセラピスト” を運営。
「全人類が健康に活き活きと暮らし、社会に貢献できる世界をつくる」をミッションに、慢性痛に悩む労働者を医療職がオンライン上でマンツーマンサポートしていくサービスを提供しています。ポケットセラピストにご興味がある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

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