お詫びと訂正本記事のタイトルにて「2025年4月に本格稼働」としておりましたが、正しくは「2025年度中に本格稼働」です。訂正してお詫び申し上げます。(2024年11月21日追記)
厚生労働省は、第183回社会保障審議会医療保険部会を開催し、電子カルテ情報共有サービスの概要、運用までのロードマップ、補助費用についてなどについて議論した。
電子カルテ情報共有サービスは、2022年5月に、自由民主党政務調査会より提言された医療「DX令和ビジョン2030」の中の三本の柱の1つに位置付けられた。政府は、日本の医療分野のデジタル化を推進する取り組みとして同システムを構築し、医療の効率化と情報共有の改善を目指している。
電子カルテ情報共有サービスとは
電子カルテ情報共有サービスは、医療機関間で患者情報をスムーズに共有するためのプラットフォームを提供する。国際標準規格である
FHIRを活用し電子カルテ情報を標準化することで、異なる医療機関間での診療情報や医療履歴の交換が容易となり、患者に対する診療の質向上や迅速な医療提供を実現するとしている。
電子カルテの標準化と共有化は、患者に関する情報をより効率的に取り扱うための重要なステップとして位置付けられている。
セラピストにおいても、患者の診療情報やリハビリテーション経過が共有されることにより、リハビリテーション計画の作成や進捗の評価が容易になり、効率的で最適なサービスの提供につながることが期待されている。
主なサービス内容
1. 診療情報提供書送付サービス:診療情報提供書を電子で共有できるサービス。(退院時サマリーについては診療情報提供書に添付)
2. 健診結果報告書閲覧サービス:各種健診結果を医療保険者及び全国の医療機関等や本人等が閲覧できるサービス。
3. 6情報*閲覧サービス:患者の6情報を全国の医療機関等や本人等が閲覧できるサービス。
4. 患者サマリー閲覧サービス:患者サマリーを本人等が閲覧できるサービス。
*傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報
補助金によりシステム導入を支援
電子カルテ情報共有サービスでは、電子カルテを導入するこことが前提となる。しかし、電子カルテの普及率は、2020年において一般病院全体で57.2%とまだ十分に普及しているとはいえない。さらに、200床未満の病院においては48.8%と普及が遅れている現状がある。
これら現状の電子カルテ普及率を踏まえて、政府は医療機関への補助金を用意し、導入への支援体制を整備している。
補助額については検討会内の資料で示されており、具体的な補助金申請の流れや導入方法については「
医療機関向け総合ポータルサイト」で確認できる。
電子カルテ情報共有サービスはいつから開始されるのか?
電子カルテ情報共有サービスは、2025年4月以降に本格稼働するとされている。
また、システムの安全かつ正確な運用を確保するために、2025年1月よりモデル事業が始動予定となっている。モデル事業には、オンライン資格確認システムを導入済みの全国9地域の中核病院が参画する予定である。
リハビリテーション分野への期待
電子カルテ情報共有サービスの導入は、患者への医療の質と安全性を向上させ、全国どこでも適切な医療を提供するための基盤としての活用が展望にある。
セラピストにとっては、患者の診療情報がスムーズに共有されることで、リハビリテーション計画の策定や進捗管理、多職種連携の効率化が見込まれる。また、リハビリテーション領域の研究におけるデータの二次利用にも期待がある。
同システムが現場で活用され、リハビリテーションのサービス提供にどのような影響を及ぼすのか、来年4月の導入以降の動向にも注目があつまる。
引用・参考:
▪️第183回社会保障審議会医療保険部会(厚生労働省HP)
▪️電子カルテ情報共有サービスについて(厚生労働省HP)
▪️電子カルテシステム等の普及状況の推移(厚生労働省HP)
▪️HL7 FHIRに関する調査研究の報告書(厚生労働省HP)