政府は9月13日、高齢社会対策大綱を閣議決定した。大綱では、高齢者が安心して生活し続けられる社会の構築を目指すことが基本的方針として掲げられ、企業等における高齢期の就業の促進、介護予防の推進、健康・医療産業の国際展開などが基本的政策として盛り込まれた。
高齢化率の上昇に伴い、生産年齢人口は2040年までに約1,200万人減少することが見込まれており、労働不足や経済規模の縮小などが懸念されている。一方、医学的には、様々な科学的根拠に基づき高齢者の体力的な若返りが報告されている。
政府はこれらを踏まえて、年齢に関わらず、それぞれの意欲や能力に応じて、経済社会における様々な活動に参画する多様な機会を確保し、その能力を十分に発揮できる環境を創っていくことが重要と指摘。取り組みを進めていくための総合的な高齢社会対策の指針として大綱を定めた。
大綱の本文では、企業等における高齢期の就業の促進において「フレイル・ロコモ対策の視点などに留意して普及啓発に取り組む」ことが明記されており、リハビリテーション専門職が支援する分野として期待が高まっている。
介護予防の推進については、「地域づくり等の高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチについて、そのための人材養成も含め、バランスのとれた効果的・効率的な介護予防を推進する」と明記された。
リハビリテーション専門職として、健康・福祉、生活環境の整備や、地域や多職種との連携のもと高齢者支援を実施する取り組みは、今後より一層求められる見込みだ。
研究開発・国際展開等では、リハビリテーション機器の研究開発・実用化を推進することが掲げられた。さらに、国際社会への知見等の発信においても、「具体的な取組に関心のある国においては、アジア健康構想及びアフリカ健康構想の下、予防・リハビリテーション・自立支援等、我が国が培ってきた様々な高齢社会対策の知見・経験を相手国の実情とニーズに見合う形で紹介するとともに、政策対話を実施し、当該相手国との連携体制の構築を推進する」としている。
高齢社会対策大綱は、1996年に始まった政策であり、最新の社会状況に合わせて「日本の高齢化に対応するための基本方針」として見直しが行われてきた。政府は、大綱に盛り込んだ施策を通じて、高齢者が健康で社会に貢献し続けられる社会を目指すとしている。
参考資料
▪️高齢社会対策大綱(令和6年9月13日閣議決定)(内閣府)
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