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2024.09.24

AI遠隔リハビリの介入効果、 サルコペニア高齢者を対象にRCTで検証 | BMC Geriatrics



遠隔リハビリテーションは、従来の対面式リハビリテーションにどれだけ近づいているのか。中国の研究グループは、AIを用いた遠隔トレーニングの効果は、従来のトレーニングと同等であるとの研究結果を報告した。この研究は、2024年7月8日に「BMC Geriatrics」に掲載された。

本研究は、中国長春市のコミュニティー組織に所属する60~75歳のサルコペニア高齢者75名を対象に、対面式トレーニンググループ(TRHG※1)、一般的なリモートトレーニンググループ(GTHG※2)、AIベースのリモートトレーニンググループ(AITHG※3)の3群に無作為に割り当てられ実施された。

すべてのグループは、24種類の太極拳エクササイズからなる3か月間のプログラムを受け、1セッションあたり40分間、週3回のセッションを行った。

※1 TRHG:face-to-face traditional training group
※2 GTHG:general remote training group
※3 AITHG:AI-based remote training group

各グループの具体的な実施内容は以下の通り:
1) TRHG:すべてのセッションはオフラインで行われ、プロの太極拳指導者によって実施された。他の2つのグループで使用されたビデオの音声は、TRHGの参加者の練習を補助するために利用された。

2) GTHG: すべてのセッションはオンライン形式で行われ、プロの太極拳インストラクターがセッション中の動きを監督・指導しながら、参加者は太極拳ビデオに沿って練習した。高解像度のウェブカメラに接続されたコンピューターが使用され、Tencentの会議ソフトウェア(Meeting-Tencent)を介して、リハビリテーション病棟と患者の自宅との間でリアルタイムの遠隔視覚コミュニケーションが確立された。

3)AITHG:セッションはすべてオンラインで行われ、参加者はセッション中、AIが動作をガイドしながら、太極拳のビデオに合わせて練習した。遠隔リハビリテーションプログラムは、研究チームメンバーによって患者の自宅に設置された。コンピュータの使い方を知らない参加者は、家族が介助した。

引用:Proposal and validation of a new approach in tele-rehabilitation with 3D human posture estimation: a randomized controlled trial in older individuals with sarcopenia(一部抜粋し機械翻訳を実施)


研究の全体デザイン


AI遠隔トレーニングシステム

AITHGでは、Googleが開発した音声や映像などのマルチモーダルデータを処理するためのフレームワークであるMediaPipeが遠隔リハビリテーションシステムとして採用された。

MediaPipeには、ビデオからリアルタイムで姿勢を解析する技術が搭載されており、33の骨格キーポイントを高精度に抽出できる。本研究では、専門家により必要であると判断された17のキーポイントが活用された。これにより、太極拳の動きを正確に追跡可能とした。

さらにこのツールにより、オンライン上で被験者の動きを感知して、利用者の動作にずれがあることを検出すると、「右膝関節の角度が大きすぎる」、「左肘関節の角度が小さすぎる」等といったコメントが適宜フィードバックされるシステムが構築され、遠隔リハビリテーションプログラムとして提供された。

測定項目と結果の考察

アウトカムは、四肢骨格筋量指数、握力、6メートル歩行速度、Timed Up and Goテスト、生活の質スコア(QOL)として、介入前、中間および介入後に評価された。

介入の結果、実験前と比較して、実験後のサルコペニア患者の筋肉の質、身体活動能力、生活の質に対する回復効果には、AIを用いた遠隔トレーニング群(AITHG)と対面式の従来のトレーニング群(TRHG)との間に有意差は見られなかった。著者らは、これらの結果より、3Dポーズ推定はサルコペニアの高齢者の筋の質、機能性、生活の質を向上させる上で、従来のリハビリテーション方法と同等の効果があると報告した。

著者らは、本研究は期待された研究結果を達成したものの幾つかの研究の限界があるとしている。本研究の介入期間は3ヶ月間であり、必ずしも長期効果を示しているとは限らないとしており、今後の展望として「参加者のサルコペニア改善の長期的な変化を追跡し、ディープラーニングに基づく3D姿勢推定技術を使用して、遠隔トレーニング方法の持続性と長期的な影響をより適切に評価する」としている。


■ 論文情報

【掲載誌】BMC Geriatrics

【論文名】Proposal and validation of a new approach in tele-rehabilitation with 3D human posture estimation: a randomized controlled trial in older individuals with sarcopenia

【著者】Shichun He, Deyu Meng, Meiqi Wei, Hongzhi Guo, Guang Yang & Ziheng Wang

【DOI】https://doi.org/10.1186/s12877-024-05188-7

引用・参考文献
◾️Proposal and validation of a new approach in tele-rehabilitation with 3D human posture estimation: a randomized controlled trial in older individuals with sarcopenia(BMC Geriatrics)

当サイトが紹介するプレスリリースは最新の実験や分析の成果報告であり、社会に実装するには追加の研究や検証が必要な場合があります。最新の研究成果を利用する際は、専門家の指導を受けるなど安全性に配慮するよう留意ください。
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