デジタル庁は、2024年8月6日から所管する国家資格等の手続きにおいて、マイナポータルのオンライン申請を開始した。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のオンライン手続きは、2024年11月以降から申請受付の予定としている。
現在、多くの国家資格が紙媒体での手続きを行なっているが、マイナンバー法改正等により、84の国家資格等がオンライン・デジタル化の対象となった。これに合わせて、国家資格等に係る各種申請手続のオンライン化や、資格情報の連携等のデジタル化が推進されている。
国家資格の手続きに関するデジタル化により、個人番号利用事務に指定され、住基ネット・戸籍情報連携システムとの連携が行われる。政府は、個人のマイナンバーと、個人の税、社会保障等、戸籍情報を紐付けて、個人の資格情報をより正確かつ迅速に管理・提供を目指すとしている。引き続き紙での手続きも可能であり、手続き方法は資格保有者が選択できる見込み。
国家資格のオンライン化のメリット
政府は、国家資格のオンライン化により各種申請のオンライン化や、支払いがオンライン上で完結することが可能になるなど、国家資格所有者にメリットがあるとしている。さらに、資格維持に関しても、婚姻や引っ越し等により氏名・住所等が変更された場合や死亡時に必要となる手続きの簡略化が期待されている。
事業所等においては、資格管理者にとってもメリットがあると示されている。マイナンバーカードの利用による厳格な本人確認や、申請不備等の各種通知をマイナポータルを活用して送信が可能となり、郵送や電話対応コストを削減することが可能となる。
さらに、名簿管理も個人番号と住基情報が連携していることで、最新の本人確認情報が確認でき、国家資格所有者の数などを正確に把握することが可能となるとしている。
デジタル資格者証の活用方法
2025年春には、国家資格の免許証がスマートフォンに搭載される見込みとなっている。報道では、iPhone(iOS)への実装が予定されており、Androidなどへの搭載は未定となっている。
デジタル証明書はPDFではなく、国際標準に基づくマシンリーダブルな証明書(mdoc方式)を搭載し、ウォレットアプリで利用可能になる予定である。また、紙の証明書が必要な場合は、PDF形式でデジタル証明書の印刷が可能となっている。
理学療法協会はデジタル庁へ国家資格オンライン化とDX推進を要望
日本理学療法士協会は、2024年7月に「2025年度予算概算要求に向けての要望」をデジタル庁に提出している。
同要望書では、国家資格等情報連携・活用システムによるオンライン・デジタル化に伴う予算の拡充について要望。具体的には、国家資格のオンライン・デジタル化を利用した理学療法士等の業務従事状況の把握と二次利用の実現に向けた予算の確保と、医療DXの推進におけるリハビリテーション関連情報の連携推進と医療機関等の業務効率化に向けた予算の確保の2点について要望書を提出している。
これらの予算確保の利点として「医療人材の把握により、需給計画等の EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進や、医療計画などの各種厚生労働政策の基礎資料となる」としている。また、オンライン化を行うことで事務効率の軽減や、地域包括支援センターなどの理学療法士等が不足している医療従事者の配置の一助になると要望している。
引用・参考資料
◾️ 国家資格等のオンライン・デジタル化(デジタル庁)
◾️ 国家資格等オンライン・デジタル化の開始について(デジタル庁)
◾️ 2025 年度予算概算要求に向けての要望(公益社団法人日本理学療法士協会)