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2024.08.26

介護報酬「処遇改善加算」解説ページがリニューアル【厚労省】

厚生労働省は、7月30日に介護職員の処遇改善加算の解説ページを分かりやすくリニューアルした。解説ページでは、制度の概要、申請方法を解説する資料やリーフレット、解説動画などが閲覧可能。さらに、計画書や実績報告書などの必要書類もダウンロードできるようになっている。

新たに一本化された処遇改善を算定するには、1）キャリパス要件、2）月額賃金改善要件、3）職場環境要件の3種類の要件を満たすことが必要になった。しかし、各種要件の内容や書類の記載方法などが複雑であり、現場で実行する上ではいくつか課題もみられていた。

今回リニュアールされた特設ページでは、必要書類等が1つサイト内で簡潔に掲載されており、現場で忙しい事業者の管理者のみならず職員にとっても理解が深まるコンテンツとなっている。

今回の介護職員の処遇改善加算は、事務負担の軽減と柔軟な事業運営の実現が目的となっており、主な改定ポイントは下記となっている。

改定ポイント
①従来の処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算を一本化
②職種間配分ルールの緩和
③月給配分ルールの見直し
④職場環境要因の見直し

①従来の処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算を一本化

現行の介護事業所における加算は複雑であり、取得率も高くない状況があった。処遇改善加算とベースアップ等支援加算に関しては90%以上の取得率があったが、特定処遇改善加算に関しては70%前後にとどまっていた。（関連資料）そのため、今回の制度一本化により申請を簡便にすることで、取得率の向上が狙われている。

また、従来の加算制度では、職員の退職に伴い、再度書類を作成する必要があったが、今回の一本化により事業所の書類作成が簡素化されることが期待される。
※令和6年度中は、現行の加算要件等を継続することも可能（激変緩和措置）

従来、3段階あった処遇改善加算（介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算）は、令和6年度改定にて「介護職員等処遇改善加算」に一本化された。これに伴い、キャリアパス要件は4段階に変更された。

②職種間配分ルールの撤廃

従来、加算区分による配分ルールが設けられていたが、加算の一本化に伴い職種間配分ルールが緩和された。これにより、加算全体を事業所内で柔軟に配分することが可能となった。

③月給配分ルールの見直し

従来の加算制度では、3つの加算区分でそれぞれ月給と賞与に分けられ、ベースアップ等支援加算に限り2/3以上を月給配分する要件が定められていた。今回の制度改正により、新加算Ⅳに相当する部分の1/2以上を月給配分することが要件として定められている。

月給配分ルールの見直しについては、従来の加算の要件の見直しであり、新たな賃上げを定めるものではないことに注意が必要である。

事業者によっては、事業所の売上の変動により賞与で給与をコントロールできていた部分の改正となるため、新たな月給配分ルールにより再度給与の検討が必要になることが予測される。給与の検討には時間を要するため、令和6年度は猶予期間が設けられている。

④職場環境要件の見直し

職場環境要件については、従来の制度に加え「生産性向上のための取組み」の項目が追加され、下記６区分となった。

職場環境等要件の区分
・入職促進に向けた取組
・資質の向上やキャリアアップに向けた支援
・両立支援・多様な働き方の推進
・腰痛を含む心身の健康管理
・生産性向上（業務改善及び働く環境改善）のための業務改善の取組
・やりがい・働きがいの構成

新加算Ⅰ・Ⅱでは６の区分ごとにそれぞれ2つ以上、新加算Ⅲ・Ⅳでは、それぞれ1つ以上を取り組むことが求められる。さらに、新加算Ⅰ・Ⅱでは情報公表システム等で実施した取組み内容を具体的に公表することが要件とされている。職場環境要件も月給配分ルールの見直しと同様に、令和6年度は猶予期間が設けられている。

「処遇改善加算」を体系的に解説

厚生労働省は、処遇改善加算の一本化の概要のほか、計画書の記入方法などについて一般事業者向け、新規算定事業者向けそれぞれを対象に解説動画を公開している。

リニューアルされたホームページには、これまで発出された加算に関する通知、補助金の概要、計画書や実績報告書などの閲覧・ダウンロードが可能となっている。

今後、厚生労働省は、令和8年度以降の加算や補助金などの検討に向けて、今年10月に介護職員の処遇動向を把握するための新たな調査を実施する予定としている。

「処遇改善加算」解説ページ（厚労省）