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2024.08.01

1年以内の転倒確率を予測、評価ツール「CaRF」開発 ー 大阪公立大・兵庫県立大

1年以内に転倒する確率を推定する転倒確率評価ツール(Calculation tool for Predicting the Risk of Falls within the next year; CaRF)を大阪公立大学と兵庫県立大学が共同開発した。

同評価ツールは、兵庫県洲本市の「いきいき百歳体操」に参加し、2010年4月~2019年12月に体力測定を1回以上受けた地域在住高齢者2,397名のデータベースを用いて、アウトカムとして体力測定結果と基本チェックリスト(日常生活動作や運動機能、閉じこもり、口腔機能、認知機能、うつなどに関するアンケート)を変数として解析を行い開発された。

転倒を経験した参加者の過去の体力測定やアンケート結果を解析すると、下記の項目が転倒のリスクに繋がることが明らかになったとしている。

・開眼片足立ち時間(秒)が短い
・椅子から手を使わずに立ち上がれない
・昨年と比べて、健康状態があまりよくない
・過去1年間に転倒したことがある
・運動プログラムへの参加が 5 年未満である
・今日が何月何日かわからないときがある
・お茶や汁物等でむせることがある

過去の転倒歴や開眼片足立ち時間が短いことは以前よりリスクとして報告されていたが、今回の解析では、認知機能や口腔機能の低下も転倒リスクを高めていることが報告された。また、運動プログラムの効果も短期間ではあまり効果はなく、継続的な参加も重要であることが示された。

今回開発された転倒確率評価ツール「CaRF」を用いた評価で1年以内に転倒する確率が22%以上になると「リスクが高い」と評価できることが統計学的に示されたとしている。

「CaRF」は、転倒リスクを評価するための計算式と高齢者自身でも入力しやすい転倒確率評価ツールとなっており、全国各地で既存事業として展開されている体力測定や基本チェックリストによる評価との連携にも期待が高まる。

著者らは、「今回の転倒確率評価ツールは、地域在住高齢者のスクリーニングによって医療従事者に有用な情報を提供し、転倒予防やフォローアップケアに役立てられる」とした上で、「高齢者の転倒を予防することで、健康寿命が延びるだけではなく、医療費や介護費の抑制に繋がる」とコメントしている。


■ 論文情報

【掲載誌】Osteoporos Int.

【論文名】Development and validation of a prediction model for falls among older people using community-based data.

【著者】Hayashi C, Okano T, Toyoda H.

【DOI】10.1007/s00198-024-07148-8

引用・参考文献
◾️Development and validation of a prediction model for falls among older people using community-based data (Springer Nature)
■ 1年以内の転倒確率を推定する「転倒確率評価ツール」(Calculation tool for predicting the Risk of Falls within the next year ; CaRF)を開発(大阪公立大学プレスリリース)(兵庫県立大学プレスリリース


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