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2024.07.04

脊損患者の長期入院、モデル事業で2年入院可能へ



国土交通省は、交通事故で重度の脊髄損傷を負った人が6ヶ月に限定されず、長期入院と継続的なリハビリテーションを受けられる体制整備を目的に、3病院でモデル事業を開始した。

モデル事業(重度脊髄損傷者受入環境整備事業)では、全国にある3病院で各4床、合計12床が設置される。受託病院には、神奈川リハビリテーション病院、愛仁会リハビリテーション病院、聖マリアヘルケアセンターが受け入れ病院として選ばれた。

脊髄損傷患者の入院期間は原則6ヶ月間だが、モデル事業では同じ病院で最大2年間の長期入院が可能となり、質の高いリハビリテーションを継続的に受けられる環境を整備し、早期の機能改善を後押しする。

モデル事業を運営するナスバ(独立行政法人自動車事故対策機構)は、今回のモデル事業の開始にあたり、事業の背景と概要について以下のように伝えている。

【事業背景】
自動車事故による重度の脊髄損傷者が、急性期から回復期までの病院における治療により機能改善が図られた場合であっても、病院退院後、その改善効果を維持し、さらなる改善に つなげていくためには、継続的なリハビリを実施していくことが必要不可欠とされている。

しかしながら、現状として、回復期を経過した後の維持期・慢性期において十分なリハビリテーションを受けることができる病院や施設等は少なく、結果的に転院を繰り返さざるを得ない場合が多いとの自動車事故被害者やその家族からの声があがっているところ。

【事業概要】
上記に対応するため、自動車事故による重度脊髄損傷者の方を対象として、急性期、回復期で十分なリハビリテーションの機会が得られなかった方で、機能障害を残したまま暮らしているが、ADL(日常生活動作)を改善したい方やリハビリテーションを中断すると再び機能が 損なわれてしまう方に対して、十分にリハビリテーションを受ける機会を確保するための専用病床の設置・運営を試行的に取り組むとともに、各病院における治療・看護・リハビリの提供の成果や課題を検証し、将来においてよりよい環境整備を目指します。



【対象となる方】
自動車事故により脊髄を損傷し、急性期病院による治療が完了している等、リハビリテーションによる治療が可能な状態であって、日常生活自立度が脊髄障害自立度評価法(Spinal Cord Independence Measure Version III : SCIM-III。)による点数で20点以下※であり、治療及び常時の介護が必要である方。
(※ SCIM の20点以下というのは、個人差があるものの、概ね脊髄を損傷し生活全般において全介助が必要な方が該当します。なお、SCIMによる評価につきましては、専門家の判断が必要であるため、各病院にお尋ねください。)

引用:独立行政法人自動車事故対策機構プレスリリース


重度の脊髄損傷者はリハビリテーションを経て、自宅に戻れる状態に回復するまで1、2年程度かかるとされている。しかし入院による治療、リハビリテーションは一定期間しか保険診療が適用されず、在宅や通院でリハビリテーションを受ける人も多い。

国土交通省は近年、重度後遺障害の当事者や家族の支援を強化しており、2023年度からは、自賠責保険料を乗用車1台あたり年125円上積みし、年間で約100億円を確保。今回のモデル事業は、それらの財源をもとに実施されている。

事業運営者のナスバは、「国土交通省と連携し、当該事業による病床の設置・運営において明らかとなった課題や当該事業の効果について検証するとともに、将来の本格事業化に向けて事業展開に係る方針や委託基準等の策定に取り組んでいく予定」としている。

今後、長期のリハビリテーションに対応できる入院施設など、支援策のさらなる充実が期待される。

引用・参考:
NASVA「自動車事故による重度脊髄損傷者受入環境整備事業(モデル事業)」の受託開始について(愛仁会リハビリテーション病院HP)
重度脊髄損傷受入環境整備事業(モデル事業)がスタート(独立行政法人自動車事故対策機構HP)
重度脊髄損傷 2年入院可に…高槻のリハビリ病院(読売新聞オンライン)

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国土交通省 脊髄損傷 交通事故
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