【追記】令和6年2月14日の中医協総会に令和6年診療報酬改定の内容が答申され、ベースアップ加算の点数等の内容が明らかとなりました。2月2日の時点で公開した記事の内容を一部、答申の内容に合わせて点数の表記を修正しています。
注目されていた看護職員、リハビリ専門職などの医療関係者の賃上げの内容が、1月31日の中医協の資料"「個別改定項目 その2」"で診療報酬改定の案とし示された。いわゆる短冊と言われる資料。短冊とは診療報酬改定の内容をまとめたものであり、現段階では点数や施設基準の数字の部分は黒塗りとなっている。
医療関係職種の賃上げについて
看護職員、病院薬剤師、その他の医療関係職種の賃上げについては、令和6年度にベースアップ+2.5%、令和7年度にベースアップ+2.0%を実施していくための特例的な対応として、年末の大臣折衝にて診療報酬改定率 +0.61% が設定されている。
賃上げの対象職種
医師、歯科医師を除く下記の職種が対象 (別表1)
薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、看護補助者、
理学療法士、
作業療法士、視能訓練士、
言語聴覚士、義肢装具士、歯科衛生士、歯科技工士、歯科業務補助者、診療放射線技師、診療エックス線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、臨床工学技士、管理栄養士、栄養士ニ精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、保育士、救急救命士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師、公認心理師、診療情報管理士、医師事務作業補助者
医療に従事する賃上げの改善を図る新たな評価
賃上げの新たな評価として、入院中の患者以外の初診時、再診時、または訪問診療時に算定する
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)が設定されている。
なお、この評価は医療従事者の賃上げを目的としていることから、下記の要件等を前提に算定する。
【施設基準の概要】*一部抜粋及び要約
- 令和6年度及び令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施すること。
ただし、令和6年度において、翌年度の賃金の改善のために繰り越しを行う場合においてはこの限りではないこと。
- 基本給又は毎月支払われる手当の引上げにより賃上げの改善を図ることを原則とすること。
- 職員の賃金の改善に係る計画を作成すること。
- 賃金の改善に係る状況について、定期的に地方厚生局長等に報告すること。
入院ベースアップ評価、外来・在宅ベースアップ評価(Ⅱ)
賃上げの評価として、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の補填として、無床診療所の場合は
外来・在宅ベースアップ料(Ⅱ)、病院又は有床診療所の場合は
入院ベースアップ評価料が新たな賃上げの評価として新設された。
なお、これらは対象職員の給料総額やベースアップ評価料の算定見込み値から算出される計算式で、算定する点数が設定される。下段は、個別改定項目の中で示された外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の点数をもとめる計算式と、その計算結果からの点数表となる。
訪問看護ステーションの評価も創設
訪問看護ステーションにおいては、主として医療に従事する職員の賃金の改善を図る評価として訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)、(Ⅱ)が新設されている。
確実に賃上げが実施されるかを検証することが付帯意見に記される
今回の改定で実施される賃上げが適切に実施されているかを「令和8年診療報酬改定に向けて検証する」ことが1月31日に開催された中医協の資料の中で
付帯意見(素案)として示されている。
物価上昇を踏まえて、医療従事者の賃上げが必要とするなかで、従事者一人ひとりの確実な賃上げが実施される改定となることが大いに望まれる。
引用・参考
中央社会保険医療協議会 総会(第582回)令和6年1月31日開催
個別改定項目(その2)について
答申書附帯意見(素案)