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2024.02.01

【小児PT × バースデイ】ユニバーサルデザインの子供服を開発



身体障がいの子どもを持つ家族の負担を軽減するため、小児理学療法士がしまむらグループのベビー・子ども用品専門店「バースデイ」とユニバーサルデザインの子ども服を開発しました。

従来の子ども服と何が違うのか?
理学療法士が監修するメリットとは?

今回、監修として開発に携わった理学療法士の向坂愛理さんにお話を伺いました。

向坂愛理さん
2013年 八千代リハビリテーション学院理学療法学科卒。理学療法士国家資格取得後、病院や児童発達支援施設等に勤務。
新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言をきっかけに、「かめきち」と名乗り家庭でできるリハビリの情報発信をSNSで開始。現在は、対面式の相談やオンライン相談など、誰もが受けやすい「日本一リアルタイムに相談できる小児PT」をキャッチフレーズに、発達に悩む多くの親子を支援し続けている。



◾️障がいを持つ子どもの家族が抱える衣服の課題


ー 今回、ユニバーサルデザインの子ども服開発に携わることになったきっかけは何ですか?

これまで私は、InstagramやYouTubeで子どもの介入方法や親御さん向けのケアの方法などを発信するなかで、親御さんの声を元に質問に答える活動をしてきました。

それらの発信を見てくださっていた「バースデイ」さんよりお声がけいただいたことをきっかけに、理学療法士の専門的知識と、日頃から親御さんたちとのコミュニケーションで得ている情報を活かしてユニバーサルデザインの子ども服開発に携わることになりました。

ー 親御さんたちはどのような悩みを抱えているのでしょうか。

これまで親御さんから相談を受ける中で、衣服に対してこのような声が多く寄せられていました。

・筋緊張が高く、袖が通りにくい
・着替えの度に装具を付け直すのが大変
・気管切開しているから首周りが汚れやすい
・頭から被るとすぐ伸びてしまう

身体障がいや知的障がいを持つ子どもの中には、常に介助を必要とする場合、親の負担を考慮したアプローチが求められます。そのような課題を感じているなか、「身体機能のアプローチだけではなく、衣服の種類や家庭内の環境設定を行うことにより介助する家族の負担を少しでも軽減することはできないか」と考えていました。

そういった意味で、今回「バースデイ」さんと共に想いを形にできたことは、私にとっても大きな1歩となりました。


◾️身体機能に合わせて配慮された子ども服

親御さんからいただいた声の中で最も多いのが、「伸縮性」でした。筋緊張が高まっている腕を通したり、経鼻チューブをつけたまま頭を通すときには衣服を伸ばして着る場面が多いため、伸縮性のある素材にしました。




気管切開をしていたり、寝たまま着替えをする子どもを考慮し、首周りが大きく開き、下から着られるボタン式のデザインや首元をVネックにする工夫をしました。




実際に着用いただいた親御さんからは「よく伸びて着替えやすい」「首元が汚れなくていい」「下から着替えられるから簡単!」といった声をいただきました。



また、介助しやすい服はこれまで金額が高く成長期でサイズの変更が激しい子どもにとって安価で手に取れることにも大変喜ばれました。


◾️子ども服の開発に携わり感じたこと


ー 制作過程では、どのように親御さんや「バースデイ」さんと関わっていたのですか?

今回は、「バースデイ」さんと私がそれぞれ関わっている障がいのある子どもの親御さんたちより日頃困っていることや要望を集めて、その声を元に制作しました。

私は日頃介入している方だけでなく、SNSの発信を見てくださっている方からもメッセージでご意見をいただいたりとたくさんの親御さんたちにご協力をいただきました。また、制作段階のものを実際にモニターしてくださる方にお願いして、その都度意見をいただいて完成しました。

いただいた声は随時バースデイさんと共有していたことで、より多くのご意見を取り入れたお洋服にできたと思います。


ー 理学療法士としてものづくりに携わる意義は何ですか?


これまでリハビリテーションを通し身体機能のアプローチから、家具の配置、着替えの方法などを親御さんたちに伝えてきました。しかし、セラピストがアプローチできることには限りがあり、永続的ではない不安定さを持ち合わせています。

そこで必要になるのが形に残る「もの」によるアプローチであると私は考えています。そのような中で、大手企業であるしまむらグループの「バースデイ」さんがユニバーサルデザインに着目したこと、そして理学療法士の監修として誰もが安心して手に取れる商品を世の中に送り出せたことは、社会に大きな影響を与えてくださったと思います。

働き方も多様化する中で、専門性の活かし方として今回の取り組みが多くのリハビリテーション専門職に知っていただけたら嬉しいです。

「保護者と子どもが豊かに生活できるようになること」を目標に、今後もより多くの親御さんたちの負担軽減、子どもの成長を応援していきたいです。



編集後記

大手子ども用品専門店が理学療法士の専門知識を活かした商品開発に至ったことで理学療法士の可能性をまた多くの方に伝えられたのではないでしょうか。障がいを抱える方が日常生活で直面する課題を解決するために、専門職が企業と協業することで新たな価値を生み出すことができると感じました。

今回ご紹介したユニバーサルデザインの子供服はこちらから購入いただけます。


向坂さんのInstagramより小児のアプローチ方法や情報がご覧いただけます。
https://www.instagram.com/child_pt/


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