日本集中治療医学会は、重症患者に対する標準化された質の高いリハビリテーションの提供を目的とした「日本版重症患者リハビリテーション診療ガイドライン」を公開した。
今回の診療ガイドラインは、システマティックレビューとGRADEアプローチ
※を用いて、多職種の医療従事者が共同で作成。グループメンバーによる議論に基づいて8領域を注目すべき臨床重要領域とし、その上で、各領域から重要な14の臨床疑問(clinical question、CQ)が作成された。
本文には、ガイドラインの活用者に対する配慮として、CQごとに情報を視覚的に整理した診療フローや、グラフィック・アブストラクトなども掲載されている。
重症患者に対するリハビリテーション提供の場面において、医療従事者が理解しやすく、意思決定に役立つ内容がまとめられた本ガイドラインは、日本集中治療医学会ホームページにて閲覧可能となっている。
【CQ:Clinical Question】CQ-1:重症患者にリハビリテーションのプロトコルを導入するか?
CQ-2:重症患者に対して 1 日に複数回のリハビリテーションを行うか?
CQ-3:重症患者に対して神経筋電気刺激または / および床上エルゴメータを行うか?
CQ-4:ICUの重症患者における嚥下障害の頻度とスクリーニング方法は?
CQ-5:重症患者に対して,嚥下内視鏡検査に基づいたマネジメントを行うか?
CQ-6:重症患者に対して,嚥下機能に関わるリハビリテーション治療を行うか?
(※嚥下に関わるリハビリテーション治療:リハビリテーションチーム医療職が行う嚥下訓練,嚥下筋トレーニング,呼吸訓練,嚥下筋電気刺激療法,筋電図バイオフィードバック嚥下訓練,喉頭電気刺激)
CQ-7:重症患者の離床と運動療法の開始基準は何か?
CQ-8:重症患者の離床と運動療法の中止基準は何か?
CQ-9:重症患者の治療4〜10日目に20 kcal/kg/day以上または消費エネルギー量の70%以上のエネルギー量投与を行うか?
CQ-10:重症患者の治療4〜10日目に1.0 g/kg/day以上のタンパク質量投与を行うか?
CQ-11:小児ICU患者に早期運動リハビリテーションのプロトコルを導入するか?
CQ-12:小児急性期呼吸管理患者に呼吸理学療法を行うか?
CQ-13:重症患者に対してICU退室後に強化リハビリテーションを行うか?
CQ-14:重症患者のリハビリテーションにおける家族の参加とその意義は何か?
※GRADE:grading of recommendations, assessment, development and evaluation
引用・参考:日本集中治療医学会 ガイドライン・指針
日本版重症患者リハビリテーション診療ガイドライン(J-ReCIP 2023)
本編 / 付録 (2023/12/10)
英語版 (2023/11/7)