厚生労働省は、8月30日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会の中で「新たな複合型サービス」の創設について論点を提示。来年4月の介護報酬改定に向けた協議を重ねる中で、「訪問介護+通所介護」の新サービスについて議論した。
介護ニーズについて、大都市部では増加する一方、減少に転じる地方もある。介護職員の人材確保が困難な現状があるなか、地域の実情に合わせて、既存資源等を有効に活用することが出来る、新たな複合的な在宅サービスが必要ではないかと提案した。
複合型サービスの新設は、社会保障審議会介護保険部会が昨年末にまとめた
介護保険制度の見直しに関する意見で提言されていたもの。
今回、厚労省は訪問介護員に関する課題として、2022年時点で約8割の事業所が不足を感じている現状があるなか、2040年にはさらに約3万2千人確保が必要になるとの見込みを提示。
訪問系サービスと通所系サービスを併用することのメリットの一つとして、人材の有効活用が挙げられることを提案した。
訪問系サービスと通所系サービスを組み合わせた複合的なサービスがあった場合の利用者のメリットは、「訪問サービスと通所サービスを通じて、切れ目のないケアを受けることができる」、「通所で明らかになった利用者の課題を訪問でフォローするなど、より質の高いサービスが受けられる」、「キャンセル時にサービス内容を切り替えるなど状態の変化に応じた柔軟なサービスが受けられる」などの回答割合が多かったことが資料にて示された。
一方、厚労省が実施した調査結果より「急なキャンセルなどのサービス変更があった場合の連絡調整が難しい」「事業所間での情報共有が難しい」といった課題の声があることも紹介された。
分科会の議論では、新しい複合型サービスの検討に前向きな意見もみられたが、反対する委員も多く、「新サービスの創設は制度の複雑化、負担増につながる」、「現状でさえ制度の複雑さが指摘されているのに、屋上屋を重ねることには反対」「必要性のエビデンスもない」などといった否定的な意見も相次いだ。
今後、厚労省は年末にかけて更に議論を深める方針。新しいサービス形態の動向について注目が集まる。
引用:第222回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料(厚生労働省HP)
【資料3】新しい複合型サービス
厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの介護報酬改定特設サイトも情報掲載を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。