日本理学療法士協会は、2023年7月18日(火)と21日(金)に2024年度予算概算要求に向けた要望書を文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、こども家庭庁、スポーツ庁に提出した。
厚生労働省に対しては、急性期リハビリテーションの人員配置や訪問リハビリテーションの提供体制の強化、地域リハビリテーション支援体制の強化に向けた都道府県理学療法士会の活用と機能強化、理学療法士の資格法に関する検証の場の創設など、37つの詳細な要望項目を提出した。
日本理学療法士協会が厚生労働省だけでなく、文部科学省、経済産業省、国土交通省、こども家庭庁、スポーツ庁といった様々な省庁に要望書を提出したことは、今回注目すべき点といえる。これは理学療法士の職務が社会の多様な側面に深く関わり、それぞれの省庁の政策方針に大きく影響を受けることを示している。
同協会が各省庁に提出した要望項目は下記の通り。
■ 文部科学省に対する要望
1.障害(発達障害を含む)に関する専門知識を有する理学療法士の文部科学省内への配置
2.特別な支援を必要とするこどもへの切れ目のない支援体制の強化
3.運動器検診の事後措置における理学療法士の活用
4.理学療法士養成教育のさらなる高度化に向けた省内検討会の設置
■ スポーツ庁に対する要望
1.障害に関する専門的知識を有する専門人材のスポーツ庁内への継続的な配置
2.障害児者が生涯にわたってスポーツを楽しめるための環境整備
3.障害者スポーツにおけるトップアスリートの発掘・育成・支援
4.スポーツへの継続的なアクセスの確保に向けた環境整備
■ 厚生労働省に対する要望
1.医療・介護・福祉専門職の処遇改善
2.地域における理学療法提供体制の充実
3.多様な人材の労働参加の支援と労働安全衛生・労働生産性向上
4.理学療法技術の向上に資する研究・開発への支援
5.理学療法の質向上に資する養成教育の充実
6.その他
■ 経済産業省に対する要望
1.アジア健康構想・アフリカ健康構想のさらなる推進に係る予算
2.海外での理学療法士の活用、および理学療法士の国際化支援に係る予算
3.ヘルスケア産業において理学療法士を含む国家資格者の活用を推進するための予算
■ 国土交通省に対する要望
1.スマートシティ、スーパーシティにおける理学療法士の活用および、IoT・ICT 等の技術や経験の海外展開
2.自立訓練(機能訓練・生活訓練)を提供する障害福祉サービス等事業者の取り組みの補助を行うモデル事業「社会復帰促進事業(被害者保護増進等事業費補助金)」の制度化および恒久的な予算の確保
■ こども家庭庁に対する要望
1.障害に関する専門知識を有する専門人材として理学療法士等のこども家庭庁および関連省庁への配置
2.産後の運動器症状に対する支援の充実
3.児童発達支援センターの機能強化等に係る十分な予算の確保
4.子育て世代包括支援センターへの理学療法士の配置・連携の強化
引用・参考:
2024年度予算概算要求に向けた要望書を文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、こども家庭庁、スポーツ庁に提出しました(日本理学療法士協会HP)