政府は、柔軟な働き方の観点から「報酬制度における常勤・専任要件の見直しを検討する」等と記載した「規制改革実施計画」を閣議決定した。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが出産、育児などのライフイベントを契機に非常勤などの選択肢を検討する場面もしばしばある。一方で、常勤専従などの要件があるため、非常勤の選択が困難であるとの声も少なくない。既存の配置基準を緩和することについては、そのような課題の解決に対する糸口となり、多くの理学療法等にとって有益な規制改革となりうる。
計画には、報酬制度における常勤・専任要件の見直し等のほか、LIFEの運用に関わる事項や、介護サービスにおける人員配置基準の見直等が明記された。関連する項目は以下の通り。(一部抜粋)
改革実施計画(一部抜粋)】
デジタルヘルスの推進② -デジタル技術を活用した健康管理、重症化防止-
No.7 科学的介護の推進とアウトカムベースの報酬評価の拡充(P77)・運用が開始された科学的介護情報システム(LIFE)について、現状では、介護事業所等にフィードバックされた情報の活用方法が明らかでないことなどの課題が指摘されていることを踏まえ、フィードバックされた情報の具体的な活用方法の周知、フィードバックの範囲について利用者個人の時系列のデータの追加などの改善を実施する。
・LIFEの項目の見直し等に際して、(中略)介護現場及活用可能性等の検討を経て、介護報酬改定時等に関係審議会へ提案するサイクルの構築に向けた調査研究事業等を実施する。
・介護報酬におけるアウトカム評価の在り方について、アウトカムを介護報酬に相当程度反映すべきとの要望が有ることに留意しつつ、関係審議会における議論を踏まえ、引き続き検討を行う。
働き方の変化への対応・運営の合理化
No
.15 介護サービスにおける人員配置基準の見直し(P85)・同一・隣接又は近接の敷地に所在する複数の事業所について、管理者が兼務可能な範囲の見直し等を検討する。
・ 厚生労働省は、介護サービスの人員配置基準に係る地方公共団体による独自ルールの有無・内容等を整理し、公表することについて検討する。
No.17 報酬制度における常勤・専任要件の見直し等(P89) ・ 厚生労働省は、診療報酬改定及び介護報酬改定に当たって、常勤又は専任の有資格者の配置要件等について、質が担保された医療及び介護が提供されることを前提に、医療従事者及び介護従事者の柔軟な働き方の支援の観点から、必要な検討を行う。
・医療及び介護の分野において、サービスの質の確保を前提としつつ、センサー等のロボット等の導入を通じた生産性向上が促されるよう、必要な措置を検討する。
参考:
答申・実施計画・意見書等(内閣府HP)
『規制改革実施計画』(令和5年6月16日閣議決定)(内閣府HP)