日本理学療法士協会は、新人職員研修の基本的な考え方と実施方法などを示した「新人理学療法士職員のための研修ガイドライン(初版)」を発行した。
卒前教育と卒後教育をシームレスにつなぐ
日本理学療法士協会は、卒前教育と卒後教育をシームレスにつなぎ、新人への職員研修が各職場で適切に実施されるよう、同ガイドラインを作成。
研修体制や指導方法については、各施設の理念や特性、研修方針などに合わせて行うことを前提とした上で、「組織の体制」「求められる臨床実践能力と到達目標」「研修の種類」「研修の進め方」について明記している。
「到達目標」については、施設の規模や機能にかかわらず、入職後おおよそ1年以内に新人理学療法士職員が到達することが望ましい到達目標を例示している。
「研修の種類」の項では、人材育成の3本柱として、OJT、Off-JT、SDS(Self-Development System:自己啓発援助制度)の研修方法を紹介。それぞれの特徴を理解し、それらのメリットを有効に連携させ、目的に適した手法によりバランスよく進めることを推奨している。
新人研修プログラムを領域別に事例紹介
各施設(領域)により、人材育成の目標や教育を実施するための体制整備の方法は異なってくる。同ガイドラインの後半部分には、「急性期病院」「回復期病院」「慢性期病院」「介護保険施設」に関する研修プログラム領域別事例集が掲載されており、組織体制の考え方や、入職1年での到達レベル設定、研修スケジュール等は参考になる。
今年3月に日本理学療法士協会が実施したアンケート調査では、回答のうち約6割の施設でマニュアルに基づく適切な新人理学療法士職員研修が実施されていない状況が明らかになった。
また、その理由として、「参考となるガイドラインがないので、どのように実施すれば良いか分からないから」という意見が多くみられたと報告している。
今後、各職場で新人理学療法士職員研修のプログラムなどを企画・立案する際に本ガイドラインが活用されることにより、新人理学療法士職員研修の一定水準を担保すること、また、2022年4月より開始予定の新生涯学習制度における実地研修の充実が図られることが期待される。
引用:新人理学療法士の教育・研修を担当する方へ(日本理学療法士協会HP)