財務省は2日、財政制度等審議会の中で介護分野について議論。令和3年度介護報酬改定に向けた提言が示された。
次期改定については、
令和2年度介護事業経営実態調査を引き合いに出し、令和元年度の介護サービス施設・事業所の収支差率は2.4%とサービス産業全体の中小企業(3.0%)と同程度の水準であること等から、「近年の介護サービス施設・事業所の経営状況からは、
少なくとも介護報酬のプラス改定をすべき事情は見出せない」と提言した。
資料では、国民負担の抑制の観点から、「介護費用の総額は、高齢化等の要因により毎年増加。介護報酬改定はこうしたトレンドの下で更に介護費用を増減させるものであり、 介護報酬のプラス改定は、保険料負担と利用者負担の更なる増加につながる。もとより慎重を期すべきもの」との考えが示された。
介護報酬は法律に基づき、事業所が所在する地域等も考慮したサービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定される。
厚生労働省は令和3年度概算要求の中で「新型コロナウイルス感染症への対応など緊要な経費」は別途要望するなど、次期介護報酬改定では、新型コロナウイルスの影響が一つの焦点として挙げられている。
介護現場における経営状況、感染状況、そして財政負担を勘案してどのような結論を迎えるのか、今後の動向に注視したい。
引用:資料1 社会保障について②(介護、障害福祉等)
参考:財政制度分科会(令和2年11月2日開催)資料一覧(財務省HP)
厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの介護報酬改定特設サイトも順次情報の更新を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。