AIベンチャー企業の株式会社エクサウィザーズと北原病院グループは「オンライン遠隔リハビリサービス」を共同開発。北原リハビリテーション病院にて試験導入を開始した。
同サービスは、iPadにインストールされた専用アプリを通じて担当セラピストが患者の自主トレーニングを遠隔で支援する。
患者はセラピストから案内されたトレーニングメニューをデモ映像を見ながら実施。運動の様子は自動で録画されており、遠隔地にいるセラピストは実際の運動している映像を確認し、個々に合わせたフィードバックを行う。その際、テキストだけでなく、映像と音声も活用してフィードバックすることができる。
興味深いのは、AIを用いた骨格抽出技術の機能を実装し、さらに拡充も予定されている点だ。
患者の運動の様子はAIを用いた骨格抽出技術により解析。その先の機能強化として、患者のペースに合わせたトレーニングプランの自動で立案される機能実装も視野にある。さらに、セラピストがフィードバックする内容についてもAIが動画の確認と解析をして学習、運動指導の助言内容についてAIがセラピストに提示する機能拡張も検討されているという。
北原病院グループの広報責任者であり理学療法士の亀田佳一さんは、「保険下ではリハビリの実施時間に上限があり、特に退院後のリハビリの量は不十分。量をカバーするために自宅での自主トレーニングを指導することが多いが、脳卒中の患者さまは疾患の特性上、誤った方法で自主トレーニングを行いやすく、それをフォローする事が難しい実情がある。その点、今回のアプリを活用することで、自宅での自主トレーニング実施状況を遠隔で把握、適宜、修正することができるので患者さまへのメリットは大きい。」と話す。
AI技術を提供するエクサウィザーズでこの事業を担当する安田さんは、「リハビリテーションに関わる業務をAIのテクノロジーで使って補助して、PT、OT、ST、患者さん、全ての方にとってより良い環境が提供できるよう、ブラッシュアップを進めている。まずは脳卒中の患者さんを対象として開始しているが、今後は変形性関節症、フレイルなど対象を拡大していく。」など展望を述べている。
今回のプロダクトを軸に、オンラインコミュニティ「
リハビリテーション × AI イノベーションラボ」も発足。AI等先端技術を活⽤し、リハビリテーションの課題解決を⽬指すプラットフォームとして、熱い想いを持つリハビリテーションに関わるメンバーを現在募集している。
北原病院グループは、過去にNECと共同開発でAI技術を活用したリハビリテーション計画作成の技術実証を実施するなど、業務効率化と医療の質の向上を目的とした「デジタルホスピタル」の実現に向けて、積極的な取り組みを進めている。
「AIを⽤いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションのもと、さまざまな領域でAIプロダクトの開発と実⽤化に取り組むエクサウィザーズと北原病院グループのコラボレーション。どのようにシナジーが生じ、プロダクトが生み出されていくのか。今後の取り組みに注目が集まる。
引用・参考:エクサウィザーズと北原病院グループ、共同開発したオンライン遠隔リハビリサービスの試験導入開始(エクスウィザーズHP)