2021年度介護報酬改定に向けて、2018年度介護報酬改定の効果検証が行われた。通所介護で初のアウトカム評価として導入されたADL維持等加算の算定は僅か2.6%であり、算定要件のハードルや、ADL評価の実施、報酬の低さが課題として浮き彫りになった。
調査結果は、厚生労働省の介護報酬改定・研究員会で公開。前回改定で新設された「ADL維持等加算」の算定状況や、ADL評価の実施状況、ADL維持等加算がサービスへ与えた影響など、各調査研究の結果概要が示された。
資料:第19回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会,資料1-1(1)介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業(結果概要)(案)(厚生労働省HP)
介護保険制度におけるサービスの質の評価
平成31年4月サービス提供分の給付実績情報において、
ADL維持等加算を算定している事業所は、通所介護サービスで2.6%、地域密着型通所介護サービスで0.3%であった。
また、ADL維持等加算を届出していない理由として「要介護度3〜5の利用者割合が算定要件(15%以上)を満たさない(47.4%)」、「Barthel Indexを用いた評価の負担が大きい(43.3%)」ことなど、算定にあたっての課題が事業所調査より分かった。
ADL維持等加算について緩和・改善して欲しい最も多い意見は「加算単位数」となった。
BIは、食事、移動、排泄、入力など10項目を5点刻みでのADL評価であるが、通所介護におけるBIについては馴染みの少ないADL評価であり、リハビリテーション対する理解や評価(アウトカム)の導入についても課題と言えそうだ。
通所介護のアウトカム評価として注目されているADL維持等加算であるが、その浸透には、事務作業の効率化や単位数を手厚くするなどの改善やBIの実施方法のサポートが求められる結果となった。
2021年介護報酬改定に向けた今後の議論が注目される。
厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの介護報酬改定特設サイトも順次情報の更新を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。