もしも、家族に突然「介護」が必要になったら ――――――。
初めて、「マンガでわかる『無理をしない介護』」を手に取った時、義足の理学療法士として知られる福辺節子さんが共著で出版した本のため、介助方法などバイオメカニクス的な要素が多い指南書と思い読み始めた。しかし、それは筆者のバイアスであり、実際は「介護が必要になってから、看取るまで。人生の意思決定やそれに関与する制度情報をストーリー仕立てで分かり易く説明したマンガ」だった。
介助の達人としてのNHKやEテレへの出演や、厚生労働省老健局参与(介護ロボット開発担当)も務める福辺さん。相手の力を引き出す介助方法を提唱する義足の理学療法士として、幅広く活躍している。
本書では、「在宅介護の日常と介助」と「介助がより必要になった時のために」の項目にて、介助の心得、介助の基本、もしもの時の介助方法等を解説している。
私たちは、医療従事者として意思決定に関わる助言などを行う機会も少なくないが、実際に「介助される本人」や「介助する家族」など “当事者” となる機会は、多くはない。
本書は、入院を経て、独り暮らしの認知症の女性とその娘がストーリーの主人公。それぞれの立場から想いや考えを持ち、時にお互いの意見がぶつかる中、周囲のサポートを受けながら人生の選択を進めていく。
一人で抱え込まない。無理や無駄な頑張りをせず、皆で支えていくことの大切さを伝えている本書。“当事者” 目線で読み進めるなかで、何か気付きがあるかもしれない。
【編著者プロフィール】著:福辺 節子(ふくべ・せつこ)[第6章・第8章・漫画制作]一般社団法人白新会 Natural being代表理事理学療法士・医科学修士・介護支援専門員・新潟医療福祉大学非常勤講師・厚生労働省老健局参与(介護ロボット開発担当)大学在学中に事故により左下肢を切断、義足となり、理学療法士の資格を取る。 介護・医療などの専門職に加え、家族など一般の人も対象とした「もう一歩踏み出すための介助セミナー」を主催。介助の達人として、NHK「ためしてガッテン」やEテレ「楽ラクワンポイント介護」に出演。リハビリテーション・介助のアドバイスを通じ、対象者の力を引き出すケアの指導を目指す。
著:代居 真知子(よすえ・まちこ)[企画・構成・テキスト・編集・漫画制作]介護・福祉・食ジャーナリスト、女子栄養大学生涯学習講師、家族介護コンサルタント。ラジオAM/FM放送の構成作家、エピックソニーでのCDブック制作を経て、福祉・介護・食に関する執筆活動を中心に行う。
福辺節子さん執筆著書