加藤厚生労働相は、75歳以上の人を対象に行う健診で活用されている現行の質問票に代わるものとして、「フレイル」の状態になっているかチェックする「後期高齢者の質問票」を2020年度より導入することを、29日の大臣会見にて表明した。
変更後の「後期高齢者の質問票」では、運動や食生活の習慣、物忘れの有無など15項目を尋ね、後期高齢者の運動能力や栄養状態などを把握し、フレイルの早期発見また指導や助言をもとに重症化予防を推進する。
通いの場等においても「後期高齢者の質問票」を用いて健康状態を評価することにより、住民や保健事業・介護予防担当者等が高齢者のフレイルに対する関心を高め、生活改善を促すことが期待される。
後期高齢者医療制度の健診については、制度発足当時より特定健診(40歳から74歳が対象)の項目に準じて実施されており、質問票についても特定健診に準じて「標準的な質問票」が活用されてきた。
「標準的な質問票」はメタボリックシンドローム対策に着目した質問項目が設定されており、フレイルなどの高齢者の特性を把握するものとしては十分なものとはいえないことが課題に挙げられていた。
これを踏まえ、厚労省のワーキンググループはフレイルなどの高齢者の特性を把握するための新たな質問票として「後期高齢者の質問票」を策定。令和2年度以降の健診等にて活用されるよう後期高齢者医療広域連合あるいは都道府県に要請を行なった。
厚労省は、「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」を公表。別添資料には今回のフレイル健診に関わる各質問についてエビデンス、統計、留意事項などが詳細に記載されている。
「後期高齢者の質問票」の回答内容は令和2年度から国保データベース(KDB)に収載される。
今後、KDBから抽出した医療・健診・介護情報と「後期高齢者の質問票」の回答が連動することにより、高齢者を必要な保健事業や医療機関受診へつなぎ、地域で健康を多面的に支えることに活用する方針。
引用・参考:
▶︎ 第34回 保険者による健診・保健指導等に関する検討会 資料4(厚生労働省HP)
▶︎ 高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版(厚生労働省HP)
▶︎ 加藤大臣会見概要(厚生労働省HP)